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第3回「アドラー心理学の全体像」
前回は、心理学者アドラーについて説明しました。そこで、今回は「アドラー心理学の全体像」についてお話したいと思います。
まず初めにアドラー心理学を一言で表現するならば“勇気づけの心理学”と言うことができます。そして、それを実現するために、アドラー心理学では、全体を大きく次の5つの理論に分けています。
(1)自己決定性
自分を主人公にする“人間は、環境や過去の出来事の犠牲者ではなく自ら運命を創造する力がある”
(2)目的論
人間の行動には目的がある“過去の原因ではなく、未来の目標を見据えている人間の行動には、その人特有の意思を伴う目的がある”
(3)全体論
人は心も体もたったひとつ“人は心の中が矛盾対立する生き物ではなく、一人ひとりかけがえのない、分割不能な存在である”
(4)認知論
誰もが自分だけのメガネを通してものを見ている“人間は、自分流の主観的な意味づけを通して物事を把握する”
(5)対人関係論
すべての行動には相手役がいる“人間のあらゆる行動は、相手役が存在する対人関係である。
(「アドラー心理学」岩井俊憲 著 参照)
アドラー心理学では、これら5つの理論をもとに先ほどもお話した“勇気づけ”をおもな技法として使っています。また、アドラー心理学の重要な価値観として“共同体感覚”というのがあります。
実は、わたしがこのアドラー心理学に特に興味を持ったのは、これらの理論や手法に感銘を受けたからではありません。
私がアドラー心理学を本格的に研究してみようと思ったの真の理由は、もともと精神医学や心理学として発展していったアドラー心理学が、その後、社会教育・学校教育・家庭教育などの教育分野に浸透していったのを知ったからなのです。
これを研究することで、今まで以上に教育の場、塾での生徒への指導や、保護者の方などから依頼されるカウンセリング等に大きな力を発揮してくれるのではないか?と考えたからなのです。
実際、これを研究するようになって、そこで得た知識や理論、そして手法などをカウンセリングや学習指導の場面などで実践してみたところ、思った以上に大きな手ごたえを感じることができました。
今回、このシリーズを書こうと決めたのも、このアドラー心理学をより多くの方に知っていただき、その手法を身につけていただくことで、日々の子育てや教育に少しでも役立てていただけたら幸いだと考えたからなのです。
次回からは、より具体的に場面や状況などに応じたアドラー心理学の実践法をお伝えしていきたいと思います。
個別指導学習塾 受験舎
小中学部 代表 鈴木 克美
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