この記事の先生
県立高校入試において、作文(小論文)の書き方で悩む生徒が少なくありません。実際に私も毎年「作文(小論文)が上手く書けない」という相談を多く受けます。
そこで今回は、普段私が生徒に指導していることを中心に“作文(小論文)で高得点を取るコツ”についてお話します。
Q1 作文と小論文の違いは?
A
「作文」とは、自分が体験したことや感想を書いて、読む人に共感してもらおうとするもの。
それに対して「小論文」は、社会問題などについて「意見」を書き、明確な根拠を示して、それが正しいことを読む人に納得してもらうものです。
ただし、一般入試の作文はどちらかというと「小論文」に近く、いわゆる「意見文」と言えるでしょう。
Q2 「作文」と「小論文」の書き方で工夫する点は?
A-1
文体を変える。
文体とは文末を「です・ます調」にするか「だ・である調」にするかということです。
基本的にはどちらを使ってもよいのですが、私は小論文(一般入試の作文)では「だ・である調」に統一することをお勧めしています。
というのは、意見文など自分の考えを述べる場合「だ・である調」のほうがより強く印象を与えることになるからです。
もちろん、両方を混ぜて書くことは大きな減点になりますのでご注意を。
A-2
“会話文”は作文の時だけ
通常の「作文」では“会話文”を使うことは問題ありませんが「小論文・意見文」では使わないのが原則です。
Q3 言葉遣いで注意する点は?
A
普段友達とのメールや会話の中で流行語や略語(絵文字)などを多く使っているとは思いますが、「小論文・意見文」では使ってはいけません。
また、指導していて必ずといってよいほど出てくる間違いが、例えば「したがって」と書くべきところを「なので」というふうに書く、いわゆる「話し言葉」の使用です。
加えて「ら抜き言葉」を使う生徒も少なくありません。入試においてはいわゆる「よそ行きの言葉」を使うようにしましょう。
“「?」や「!」”などの記号も特に「小論文」では使わないようにしたほうがよいでしょう。
Q4 その他注意する点は?
A-1
上手に書こうとしない
文章を書くときに最も大切なことは、読んだ人に納得してもらえるかどうかです。
入試ですのでついつい上手く書こうとするため、考えがまとめられず時間が足らなくなったり、文章が硬くなったりしがちです。
そこで私は常に「文章を書くときには自分の弟や妹など自分より年下の子に対して説明するように書きなさい」と話しています。
そうすることで内容もわかりやすくなるだけでなく、書くほうも書きやすくなるはずです。
A-2
誤字・脱字や原稿用紙の使い方の間違いは減点の対象ですので気をつけましょう。
また、文字の丁寧さや接続詞の使い方などに問題があると文章が読みにくく、そのため採点者の印象が悪くなる可能性がありますので注意してください。
また、文章を読みやすくするコツとして一文を短くすることもポイントです。
Q5 高得点が取れるコツは?
A
「型」を作る
<小論文編>
作文の場合もそうですが、問題によっては段落分けに指定がある場合があります。その際はそれに従ってください。ここでは、小論文を“段落”ではなく“部分”に分けて説明します。
第一部 問題提起(10%)
栃木県の場合「課題文」や「データ」などを読み取りそれに対して書くタイプが多いのでそんな場合は「課題文の筆者は・・・と主張しているが、それは正しいか」などの形で問題を提起すると書きやすくなります。
第二部 意見提示(30%)
ここで賛成か反対かなど自分の立場をはっきりさせましょう。その後「確かに」で始まる文章で自分と反対の意見について触れるようにすると、視野の広い文章に展開しやすくなります。
その上で、逆接の接続詞「しかし」を用いて、読む人に納得してもらえるよう自分の意見を主張するとより強い印象を与えることができます。
第三部 展開(40~50%)
ここがクライマックスです。ここのでき次第で大きく点数が変わると言っても過言ではありません。
ここでのポイントはなんといっても「自分が示した立場の理由」を明確に示すということです。そのために「自分の体験」や「課題の解決策・対策」などを書いてもよいでしょう。
第四部 結論(10%)
第一部から第三部を受けて、改めて問題文で問われている内容に対して、ていねいに自分の立場を主張しましょう。
<特色選抜作文編>
特に指定がない場合、三段落構成がよいでしょう。
第一段落 意見(20%)
ここでは出題されたテーマについての意見と簡単な理由を書いておくとよいでしょう。その際意見はあいまいにせずはっきりと書きましょう。
第二段落 説明(60%)
体験などをもとに、第一段落で書いた理由をより具体的に説明しましょう。ここでのポイントは読む人に共感してもらえるかどうかです。
第三段落 発展(20%)
ここでは再び自分の意見を述べるとともに、テーマにあわせて意見を発展させるとよいでしょう。
例えば「私の挑戦」というテーマでしたら、高校生活で私が挑戦した結果をもとにその後の人生でそれをどう生かしていくのかなどを書くとよいでしょう。
<一般入試作文編>
これは先に書いた「小論文」に似ています。ただし、一般入試で作文に割くことのできる時間はせいぜい15分でしょう。
この短時間で書ききるためには「特色選抜」のそれとはまったく別のものと考えたほうがよいでしょう。そこで私は書き出しを決めてしまうように指導しています。
① 「~について、私は・・・」で意見を述べる
② 「なぜならば・・・」で理由を書く。
③ 「確かに・・・」で反対意見に触れる。
④ 「しかし・・・」でそれに反論しながら自分の意見をより深める
⑤ 「これらのことから・・・」で①で述べた自分の意見を再度書く。
Q6 本番まで何をしたらいいですか?
A
① 多くの文章を書く
過去問や作文の問題集などを利用してできるだけ多くの文章を書きましょう。その際、時間の目標を決めること。また、書いた文章は信頼できる方に添削をしてもらうとよいでしょう。
② よい作文をたくさん読む
作文の問題集などには、模範解答などでよい作文の例をたくさん載せています。そういった例文などを参考にしてみると自分の書きたいことの参考になりますので、できるだけたくさん読みましょう。
③ 普段の会話に気をつける
最近の若者の会話を聞いていると、とかく自分本位のように感じます。そこで、常に自分の考えを客観的に(他の人の目線に立って)見るようにすると作文力も上がるでしょう。
相手に納得してもらえるのか?独りよがりではないか?本当にそう言えるのかを検証する癖をつけるようみするとよいでしょう。そういえばあるテレビタレントがこんなことを言っていました。
「テレビで何かを話す場合、必ず事前に3人の人に同じ話をする」と。それは、一人目は自分本位に話すことが多いためうまく伝わらない。そこで反省し、二人目にはもっと相手に伝わるように話し方を工夫する。
そして三人目に話すとき洗練された内容にまとまっている。その後テレビで話すのだそうです。何かのヒントになりそうですね。
<最後に>
最初から上手な作文が書ける人はそうはいません。あきらめずに書き続け少しでも高得点が取れるようになることをお祈りします。
特に一般入試の作文は配点が20点と大きく、逆に考えれば条件どおり書けばかなりの点数が見込まれるのですから・・・