この記事の先生
県内トップレベルの進学高校の先生とお話しをする機会がありました。
主に最近の大学受験事情について、高校側の考えと私たちの考えについて意見交換を行ったのですが、概ね見解は一致していました。
それぞれが共通に持っていた考えは“年々首都圏の中高一貫校との差が歴然となっている”ということでした。
もともとそれらの中高一貫校では高校二年生までに高校の学習をすべて終了させ、残りの一年はそれぞれの志望校対策を徹底して行うのに対して、県内の高校はそれが出来ずどうしても受験対策が後手に回ってしまっているのが現状でした。
それだけでも大変だったのに、例のリーマンショック以降、いろいろな事情から現役合格を強く願う生徒が急増したために、首都圏の中高一貫校などトップレベルの大学に数多く合格者を出している高校が、それまで以上に受験対策を強化してきたのです。
しかし、県内の高校はそれほどの危機感を抱かず今に至っているのが現状です。ですから、年々差が開いてしまうのも当然の結果だと言えるでしょう。
わたしたちもこの状態を黙って見ているわけにはいきません。ではどんな工夫をしているのか?
そこで今回は、どんな風に子供たちを育てているのか“受験舎流子育て法”をお話し致します。
おかげさまで今年も受験舎に小学生の頃から通っている生徒が東工大など数多くの難関大学に合格しました。そういった生徒たちにどう接してきたか?
その1「たくさん話す」
受験舎では、授業中・自習時間・休み時間など機会があるごとに子供たちといろいろな話をします。
勉強のことであったり、友達のことであったり、親子関係のことであったりと、その内容はさまざまです。
そういったことを繰り返すことで、お互いの信頼関係を築きその後の指導に役立てています。
その2「褒める」
私たちは事あるごとに生徒を褒めるように心がけています。当然ですが人は誰でも褒められればうれしいものです。
そしてまた、褒められればやる気も出てきます。ですから、どんな些細なことでも生徒の良いところを見つけては褒めるよう努力しています。
その3「叱る」
先ほど「褒める」という話をしましたが、実はそれ以上に大切なのが「叱る」だと考えています。たしかに「褒めて伸ばす」ということはずっと以前から言われてきました。
しかし、褒められるばかりで育ってきた場合、その反動として、褒めてくれる人がいるときだけ望ましい行動をするという動機づけが強化されてしまう恐れがあります。
また、そうやって育てられた子供は、叱られることに慣れていないためほんの些細なことで「傷つく」ようになり、現にそういった「叱られ慣れていない」若者が年々増加しているのも見逃せない事実なのです。
特に勉強に関して言えば、実力がありながらなかなか成績に結びつかない子の多くが“勉強の仕方に問題がある(悪い癖を身につけている)”“勉強する姿勢ができていない”など、今まで他から指摘されずに来てしまい、本人もそれで良いと勘違いしている場合が少なくありません。
そんな時私たちはそれを指摘し、時に「叱る」のです。
その4「考える」
人にとって「考える」ことはとても重要です。それも自ら「考える」ことが大切なのです。
最近の報道を見ていて現代の子供たちに最も欠けていて、最も必要なのがこの「考える」ではないかと思います。
例えば、先日「イスラム国」に影響を受け「人を殺す練習がしたかった」と言ってヤギを傷つけた中学生がいました。これなどはその典型ではないでしょうか。
ITのみならず、テレビやマスコミが垂れ流す情報を、ただ受動的にそのまま真に受けるのではなく、自分で「考え」、それを「正しく」「賢く」理解することがより大切な時代になってきています。
そしてそれは今後ますます大切になることでしょう。ですから、私たちはその「思考」という作業を授業の中で重要視しています。
その5「ピグマリオン効果」
そもそもこの「ピグマリオン効果」とは1964年にアメリカの心理学者によって提唱されたもので、ある実験により期待と成果の関係について「人は期待されたとおりの成果を出す傾向がある」という結論が導かれたというものです。
つまり、子供たちは自分にかけられる「期待」を敏感に察知して「やる気」を出して勉強に励んだり、またその逆に「やる気」を失ったりするという考えです。
ただし、これは子供たちとの常日頃の接し方が最も重要で、いくら言葉で「期待しているよ」と言っても心からそう思っていなければ、子供たちはそれを敏感に感じて努力してはくれません。
また、過度に期待をよせるのも単なるプレッシャーにしかならず決して良い結果は生まれません。
ピグマリオン効果を高めるためには心から“子供たちを信じること”そして子供たちの周りにある「どうせダメ」とか「どうせ無駄」などという悪い環境をできるだけ排除してあげることが重要です。
受験舎の塾生(中学生)の中にも将来“東大”や“東工大”などを目指したいと言う子供たちがいます。
実際の受験はまだまだ先の話ですが、それまで一人ひとりの子供たちに“受験舎流子育て法”で応援し続けたいと思います。