ひとりひとりの生徒と向き合う個別指導の実績がある受験舎の先生たちが、子供たちのモチベーションをアップ させるノウハウや、やる気にさせる言葉を親御さんたちへレクチャーします。

其の41 合格おめでとう!(一期一会)

この記事の先生

鈴木 克美 先生

» 講師紹介はこちら

先月私のもとに高3の女の子からうれしい知らせが入りました。

なんと“立命館大学”に合格したというのです。

 

その子との出会いは3年前、中3の夏でした。

 

私の知り合いのお子さんでしたが、とにかく勉強をしない。

勉強をする気がない。

なかなか大人を信じようとしない。

特に学校の先生との関係は良好ではない。

 

ということで私に何とかして欲しいと言って相談に来られたのです。

 

私も初めて会うまではいったいどんな子が来るのか内心楽しみにしていたところ、やってきたのは服装などがゆるい感じで、また、どこか世の中に背を向けたような雰囲気を持った子でした。

 

ただ私は、周りの大人たちに説得されたにせよ私のところまで足を運べたこと、さらに初めて会ったときに大きな声で挨拶ができたこと、そして、私との面談のなかで会話が成立していたことからこの子は周りが思っているほど悪い子ではないと感じました。

 

私も教員時代を含めてかれこれ30年、いろいろな子供たちを見てきましたのでいちおう人を見る目は持っているつもりです。

 

そこで、とりあえず夏休みの間毎日私のところに通って来ることを本人と約束し彼女との勉強がスタートしました。

 

最初に現在の学力がどのくらいなのかテストのようなものをしてみたところ、なんと中3の夏でSUNDAYやMONDAYが書けない状態でした。

 

そこで本人と話し合い、わかるところまで戻ってやり直そうということになりました。

 

私は指導する際、常に心がけていることがあります。

 

それは、勉強の内容は私が勝手に決めるのではなく必ず本人と話し合って決めること。

 

また、たとえ点数が良くても考え方やその答案の内容が将来的に見てあまり良いものでない場合、前の学年に戻って(時に小学生の内容に戻ることもある)でも学習し直すこと。

 

さらに、できるかぎり褒めること。決して「何でこんな問題できないんだ!」などと言わないこと。

 

彼女の場合も小学校高学年の内容に戻って勉強を始めました。

 

すると、たしかにすらすらと解くことはできなくとも、その過程において考え方や解き方などにとても非凡なものを感じました。

 

私はいつも通り私の感じたことをストレートに彼女に伝えました。そしてその日の帰りに親御さんがお迎えにみえたので私の感じたままをそのまま親御さんにもお伝えしました。

 

今思えばそれから約一ヶ月私はその子のことを毎日褒め続けていたように思います。私があまりにも彼女を褒めるので彼女の周りの大人たちから「鈴木さんがあまり褒めるからこの子が図に乗っちゃう」と言われたくらいですから。

 

ただ私との勉強を通して彼女は確実に変わりました。今まで自分に自信が持てなかったのが、私もやればできると思うようになったり、担任の先生に「お前の力では志望校合格は無理だ」と言われ続けたことを逆に発奮材料として合格に向け頑張ったりと、それこそスイッチが入った感じでした。

 

それと同時に今まで付き合ってきた仲間も少しずつ変化していったようです。おかげで、無理だと言われていた高校に見事合格できました。

 

ただこの子のすごいところはここからです。

 

高校に入学するとすぐさま大学に向け自ら勉強を始めました。普通科とはいってもなかなか一般入試でそれなりの大学に入れる高校ではなかったこともあって、彼女は入学当初から推薦で大学に入れる道を選び、ひたすら評定をあげるために猛勉強を始めました。

 

その頃の彼女はいつ見ても服装がきちんとしてあの面影はすっかりなくなっていました。

 

当然、周りの友達も自然と同じような考えを持った人たちと接するようになり、本人だけでなく周りの環境までも変えてしまうようなすばらしい子に成長していました。

 

その甲斐あって3年の評定平均が4.6までになり、みごと“立命館大学”に合格しました。

 

彼女から合格の一報をもらったとき、「あのとき鈴木先生にスイッチを入れてもらったおかげです」と言われとてもうれしくなりましたが、それ以上にこの3年間の彼女の努力を考えると本当に頭が下がる思いでいっぱいになりました。

 

人はいつからでも・どこからでもやり直すことができます。

 

やり直すためのキーワードはきっかけです。

 

そしてそのきっかけの中で、もっとも大切なものを私は“人”だと思っています。

 

私自身今の私があるのは中1のとき友人が発した何気ない一言のおかげだと思っています。

 

だからこそ、私は今でもずっと“人”との出会いをとても大切にしています。

 

そして、私と知り合うことになった子供たちに、どんな些細なことでもいいから何かお土産をあげられたらといつも願っています。

 

私はこれからも勉強だけでなく人としても子供たちが大きく成長してくれるよう心から願っています。