ひとりひとりの生徒と向き合う個別指導の実績がある受験舎の先生たちが、子供たちのモチベーションをアップ させるノウハウや、やる気にさせる言葉を親御さんたちへレクチャーします。

其の11 昨年度を振り返って

この記事の先生

鈴木 克美 先生

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いよいよ新年度、それぞれに期待と不安を持って新しい環境に臨もうとしていることと思います。そこで、今回は昨年度を振り返り特に気になったことをお話しして、新年度の参考にしていただければと思います。

私が特に気になったことは、

  1. 子供を取りまく大人たちの言葉かけが今後ますます重要になってくる
  2. 子供たちの心の中にチャレンジ精神がなくなってきている

の二つです。

まず一つ目の言葉かけですが、これについては実際にあったエピソードを二つご紹介します。

その1

中学3年生の彼女は、親や先生から成績が悪いことで、常に叱られていて「こんな成績じゃ志望校合格は無理」とはっきり言われていた。本人も褒められたり、認められたりということがないため「自分はだめなんだ」と思い込んでいた。

知り合いからの紹介で夏休みに私を訪ねてきた。数時間勉強の様子を見たところ、能力の高さに気づいたため、その旨を本人に伝える。しかし、今までが今までだったためなかなか信じようとしない。そこで、時間をかけて褒めて・認めての繰り返しを続ける。

そうしたところ、自分でもやればできるということに気づいたらしく、目の色が変わる。その後も担任の先生からは「志望校合格は無理」と言われ続けていたが、結果見事合格した。

その2

国語がなかなか伸びずにいた生徒。いろいろと話を聞いてみると、家庭で親が成績や普段の生活についていろいろと口を出してきているとのこと。最近の傾向として中学生に限らず高校生になってまでも、親がいろいろと口を出す家庭が後を絶たない。

そこで、本人と相談の上、三者懇談を行う。そこで、親御さんに子供の本当の気持ちを伝え、さらに、親が口を出さずに本人にもっと考えさせ、行動させることの大切さを理解してもらう。

そうしたところ、本人も気のせいか生き生きとし、それにともなって国語の成績も伸びた。

得てして、教育熱心な親御さんの中に、どうしても子供にあれやこれやと口を出してしまう方がおられます。子供を褒めたり、認めたりという言葉かけはさほど心配ないのですが、生活のありとあらゆることに関してまでも口を出す方も少なくないのです。

子供を心配するあまりの行動で気持ちは理解できるのですが、それが、子供の成長を妨げているということをもっと理解していただきたいと私は強く思うのです。特に、国語など視野の広さや心の成長などが大きくかかわってくる教科を伸ばす(高校では国語力がないと他の教科も伸びない)ためには、とても重要なことなのです。

以上、実際にあったエピソードを二つご紹介しましたが、いずれの場合も、親や周りの大人が発する言葉ひとつひとつにとても重みがあるということです。また、子供にとって重要なことは“いかに早く自立できるか”そして、それを親が“意識的に手助けできるか”ということなのです。

続いて二つ目のチャレンジ精神について。

これは昨年になって強く感じるようになったのですが、子供たちが志望校を選択する際“安全思考”の生徒が増えたように感じます。

以前、県内屈指の進学高校の先生が「最近の高校生は、例えば<東大>に合格できる生徒の多くが志望校を下げて<東工大>にする傾向がある」と言われていました。その頃は中学生にはそのような傾向はなかったので、他人事のように聞いていましたが、昨年から中学生にもそのような傾向が強く見られとても不思議に思っています。

これについては、私自身、原因らしきものがまだ見つかってはおらず、今後も注意して見ていこうと思います。

ただ、子供たちの中にチャレンジ精神がなくなりつつあるのは、少々心配です。中学受験や高校受験は単なる通過点で、人生の終着点ではないのですから